シャトルがプラントへ着陸し、ミリアリアは久しぶりのプラントの地を踏んだ。

    戦争が終結し、AAが一時着艦して以来だ。イザークとはその時に一度会っている。

    あれからもう一年が経つ…。

    当然プラントも地球同様、まだ治安は安定していなかったが、

    流石コーディネイターとでもいうべきか、それとも地球程被害を受けていなかったのか、

    見た目にはもう既に、平穏な日々が送られつつあるかのように思われた。

    けれどミリアリアは、そんな場所でも見えない事実があることを、

    経験上よく知っている。

    ─あいつ…元気にやってるかしら…?ああ、でも病気とかしなさそうだけど、

     疲れは流石にたまってるかもね。

    そんなことを思いながらミリアリアは、ディアッカと同じ地にいて、

同じ空気を吸っていると思うだけで、

    ついつい顔をほころばせてしまう。けれどそれはすぐに惨めな気持ちに変わってしまった。 

    しばし仕事のことも忘れ、手続きを済ませて一人落ち込んでいると、いきなり聞き覚えの

    ある声が、ミリアリアの名前を呼んだ。

      「ミリィ…っ!!!!!」

    もはや聞き覚えのあるなどというレベルではなかった。

      「ディアッカ!!!?」

    彼女は声の主を目で確認する前に、身体が理解し、

    振り返るよりも速く、声の主の名前を呼んでいた。

    忘れるはずのない、あいつの声。

    ずっと聞きたかった…あの声。

      「ちょ…っ、なんであんたっ!!?あっ…え…?きゃあっ!!」

    声の主ディアッカが、ものすごい勢いで私に駆けよって来るかと思えば、

    ミリアリアの両足はふわりと地面から浮いた。

    彼は彼女を思いっきり抱き上げていたのだ。

 

 

      「ば…ばかっ!!!なんであんたがここにいるのよ!?お…降ろしてってば!!!」

    会いたかったはずなのに、音になったのはそんな言葉。

    ディアッカの突然の出迎えと、行動に動揺を隠せなくて、そんなことしか

    言えないミリアリアは自分が嫌になる。

    何から話せばいいのか整理がつかず、顔を真っ赤に染めて目茶苦茶な順序で叫んだ。

    それを聞いたディアッカははっとし、やっと彼女を降ろして、第二声を発した。

      「あっ、ごめんっ!でもお前こそ…なんで連絡よこさなかったんだよ…!?この前

       アスランからメールで聞いて、あいつはキラから聞いたらしいけど…っ」

      「やだ…キラってば…!!だ…だってっ、あんた忙しいのに…そんな…。」

      「…ったく、変な気使うなよな…(そういうトコも好きだけど)。会いたいに

       決まってんじゃん!!お前が地球に行った次の日、いや一時間後…

       いいや行った瞬間から会いたかった!!!」

      「…ごめんなさい…」

    ミリアリアはもう恥ずかしさに耐えられない、という風に真っ赤な顔で

    俯き加減でそう言った。

    けれどまた安心もした。あんなことしか言えなくて、良かったのかもしれない。

    なんて…“らしい”のだろう。まるで1年前に戻ったかのようだ。

    一方ディアッカはミリアリアの様子を見て、嬉しくなりながらも一応謝る。

      「あ…いや、ごめんって。でも…マジで会えて良かった…久し振り…だな…」

      「…うん…」

    照れながらもミリアリアは少し微笑んだ。ディアッカが嬉しそうに微笑み返す。

    今のミリアリアはこれだけのことがすごく嬉しい。キラには感謝しなければ…なんて思う。

      「そういえばディアッカ、あんた今日仕事は?」

      「ああ、休み。」

      「…え!?」

      「イザークがさ、休暇くれたんだ!俺普段すげー真面目だから。今日のこと

       言ったらさ、すんなり許可くれたぜ?」

      「何バカなこと言ってんの!ちゃんと休み取りなさいよ?

       でもそっかぁ…イザーク、隊長だもんね。彼なら安心だわ(いろんな意味で)。」

      「そうだ、ミリィ。どれ位こっちにいれんの?」

      「一週間位かな」

      「泊まる場所、もう決まってんのか?」

      「この辺で安いホテル探そうかなって思ってるんだけど…

       ディアッカ、どこかいいとこ知らない?」

     よし来た!!とばかりにディアッカが嬉しそうに答えた。

      「そりゃあ…やっぱ、俺ん家だろ!!」

      「……言うと思った…」

      「ミリィのその顔久しぶりvv」

    あまつさえ呆れ返ったミリアリアの顔が可愛いと付け足す。

    見た目ちょっと大人びたように見えるけれど、

中身は全然変わっていない印象をミリアリアは受けた。。

      「だってさ、安いどころかタダだし、何より安全だろ!?そこらのホテルなんかより

       ずっといいじゃん!!」

      「あんたとひとつ屋根の下なんて、そっちの方がよっぽど危ないわよ。」

      「お前なぁ…ほんとに俺ん家来いって!!絶対治安がいいなんて、言える状況じゃないから!!

        大事なヤツをそんなトコに、一人で泊まらせるわけにはいかねぇだろ!?」

    案外真面目にディアッカが言ったのを見て、確かにそうだと思った。

    それになんだかんだ言っても、ミリアリアは彼を信頼していた。

      「…分かった…。じゃあ、お願いしようかな。構わない?」

      「勿論OK!!」

      「有難う、助かるわ。」





                                   

                                    さすが当サイト…!!シリアス長編なのについ甘く…なって…しまいましたね(滝汗)。
                                    すみませんヌルーいシリアスで…(苦笑)。