NEVER LOSE

    

      「それじゃあ、行ってくるね」

      「うん、気をつけてねミリィ…」

      「ディアッカやイザークにもよろしく言っといてくれよな!」

     「まあ…会ったら言っとく」

    「じゃあな!!」

      「行ってらっしゃい!!」

    行ってきます!そう言って、ミリアリアはキラとサイが見送る中、空港を後にした。 

    戦争が一旦終わり、ミリアリアやサイやキラ、ラクスにそれからアスランとカガリはひとまず 

    地球へと向かい、そしてイザークと…ディアッカはプラントに残った。

    ミリアリアにとって彼と別れるのは正直かなり寂しかったけが、

お互いの道の為に、まずすべきことをしたのだ。メールも他の連絡手段もあったけど、

お互い忙しいらしく、結局それきりになってしまっていた。

    シャトルに乗り込んだミリアリアは、窓の外を見ながらキラとの会話を思い出していた。

                    *

      『プラントへ…!?』

      『そっ!!仕事でね。やっぱり地球での写真ばっかりじゃ駄目でしょ?』

    ミリアリアは今、戦場カメラマンの仕事をしている。

    できるだけ多くの人に、戦争が生み出すものを知ってほしくて…。

    彼女は部屋で荷物をまとめながら、キラと電話で話していた。

      『そっかぁ…てっきりディアッカに会いに行くのかと思った!!』

    キラが電話口で小さく笑っているのが聞こえた。彼なりに二人のことは気になっていたらしい。

      『会えたらそれはそれで嬉しいけど、第一向こうに連絡してないから…

       あいつも忙しいだろうし、余計な気使わせたくないじゃない?』

      『ミリィは優しいね。でも無茶はしないでね?』

    キラはミリアリアの芯の強さを知っていた。だから彼女が心配だったけれど、

    彼女の行為に反対をぶつけたりはしなかった。

      『有難うねキラ』

                    *   

    ミリアリアの乗ったシャトルは、いつの間にか宇宙に出ていた。

    窓から見えるその光景には、戦争が残していった傷跡が、まだ少し残っている。

    ミリアリアは本当はディアッカに会うのが少し怖い。だから連絡もしなかった…というのが本音。

    もっと前なら彼のことだ、連絡すれば必ず迎えに来てくれたかもしれない。

    でも今は…?それを考えると彼女の胸の奥がチクリと痛む。

    これだけの月日を経て、以前と変わらぬ関係があると思えるほど、

    彼女たちの距離は確かではなかったのだ。

    けれどあの時は、そんな余裕はどこにもなかった。

    ミリアリアは今になってやっと…気持ちに整理がついた。

もう…遅いのかもしれないのだけれど。

    もうすぐ到着するとのアナウンスが流れ、ミリアリアの目がプラントの姿を映した。 

 


                        

                      結構続く気がしないでもないです…。最後までお付き合い下されば嬉しいです。