1話 2話 3話




今日が一段と冷え込んでいるような気がするのは


ただの私の気のせい……?








Birthday Present
        〜寒空の下であなたを想う〜








珍しくあのディアッカからのメールが私の誕生日について触れてこなかったから、

多分それだけザフトの仕事が忙しかったんだと思う。

余計な気を遣わせないためにも、私は何も言わなかった。

それでも少しの期待はあったけれど

今日のもう半分以上が終わってしまった今では諦めの方が強い。

キラやラクスやサイ、他の皆からは“おめでとう”の言葉や文字をもらった。

別に何が欲しいわけでも、無理に逢って欲しいわけでもない。

けれどやっぱり好きな人が自分の誕生日を覚えていてくれて、

そして一言お祝いを言ってもらいたいと思うくらいの欲はある。


本当に一番欲しいのはディアッカの言葉なのに──。


せめて少しでも自分の誕生日を楽しもうと、私はよく行くお店で好きなケーキを一つ買って帰路についた。

そしたら少しだけ今日が特別な日になった気がした。


マンションの自宅のある階までエレベーターで上がる。

すると降りて真っ直ぐ向こうにある自分の家の玄関前に

誰かがこちらを見つめて立っているのが見えた。

まだ小さく視界に捉えているはずなのに…

何故だか自分の心臓が大きく跳ね上がる。

視線をそこから外せずに、一歩踏み出す度に大きくなっていくその姿と

それに比例するかのように高鳴る鼓動。

玄関に辿り着く数メートル手前で足を止めると、その人物は嬉しそうに笑う。


信じられないけど

間違うはずなんてない


 「…ディ…アッカ……」

 「ミリィ…」


今度はあちらから私に歩み寄る。

大きくて、けれどいつもより冷たい手のひらが私の頬を包み込み、

少しだけ顔を上向かされると

…冷えた唇同志が小さく触れ合う。

それからディアッカはとびきりの笑顔でこう言った。





 「誕生日おめでとう」





再び降りてきた唇は

さっきよりも幾分熱を帯びていた















初ミリィ視点です。
一応“中”にあたる内容のつもりです。
下がまだ出来てないんですよねー(滝汗)。
っていうかシリアスなのか甘々なのか…
またしてもどっちつかずなものを…(苦笑)。
あと1話です。ラストは少し長くなるかもしれませんが、
お付き合い下されば嬉しいです。