1話 2話 3話
全てがどうでも良かった俺の
初めて大切な存在になった彼女
その彼女が生まれた尊い日に
こんな俺には何が出来るのだろうか
Birthday Present
〜寒空の下で君を待つ〜
地球に住むミリアリアと、プラントの、しかもザフトで働いて生活している俺が
二人で一緒に過ごせる時間はあまりとれない。
その分連絡は余程のことがない限り毎日取り合っている。
俺はせめてミリアリアの誕生日は一緒に過ごしたくて
必死に働き、何とか休暇をとることが出来た。
───が、俺にはまだ一つの悩みがあった。
それはミリアリアに贈る誕生日プレゼントのこと。
彼女なら誰から貰ったものでも、どんなものでも喜んでくれるだろう。
今までに付き合った女の誕生日なら、適当に指輪でもあげていればそれで良かった。
だけど彼女は違う
誰よりも何よりも大切だから
それにミリアリアの前ではどんなに高価で美しい宝石も、ただの石に成り下がってしまうような気がする。
あの笑顔に勝るものなんて、少なくとも俺は知らない。
誕生日が近づいてるっていうのに、彼女なりに気を遣っているのか
ミリアリアのメールは一切その事には触れてこなかった。
だからこそ、俺はミリアリアがとびきり喜ぶようなプレゼントを用意したかったわけだけど…
何を贈ればいいのか一向に見当も付かないまま
…結局俺には本人に直接聞き出すより他に考えは浮かばず。
そうして俺は滞在予定の3日分の荷物以外は何も持たずに、地球へと向かうことになった。
2月17日、いくらミリアリアの住む国が赤道に近いって言ったって、行けばそこは真冬の2月。
気候調整のされているプラントと比べれば断然寒さが身に染みる。
そんな中、俺はマンションの彼女の家の前で、彼女の仕事の帰りを待った。
実はミリアリアには今日俺がここに来ることを伝えて来なかったのだ。
それはミリアリアを驚かせたかったからという、俺のささやかな悪戯心。
もしかしたら今、彼女の中では
“仕事の忙しさで自分の誕生日を忘れたヒドい男”
になっているかもしれないのが少し怖いが。
合鍵は貰っているけどあえて中には入らない。
一応突然訪ねたわけだし…。
ましてや寒い中で仕事をしているミリアリアをよそに、俺だけぬくもっているのもどうかと思ったし。
まあ、部屋を暖めてやっておきたかったけど、迷った末にやっぱりやめた。
だって俺がミリアリアを温めてやれば問題ないだろ?
そうして俺は可愛い彼女に想いを馳せて
星の輝く夜空の下で
ミリアリアを待つ愛しい時間をもうしばらくの間すごすのだ
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ミリ誕です。ディアッカ視点。
なんだか1話で終わらせるつもりが授業中にもさもさ書いていたら
いつの間にか微妙に長くなってしまいました…。
一応上・中・下の三部作です。
実はこの段階で下は出来上がっていないので、一体どうなるのやら(苦笑)。
次はミリィ視点になります。
バレンタインからミリィの誕生日まで1日1話ずつアップ企画です。
お気に召された方はよければ最後までお付き合い下さい。