出会いはなんてことのない私の気まぐれからでした。
たまたま私が通りかかったその場所に、
たまたま彼女がそこに居て、
普段なら別段気にも留めないけれど、
なんとなく気になって声を掛けたんです。
出会いはただ僕の気まぐれによる
*1*
あの日その少女は人目の付かない森の暗がりで、何本ものクナイや手裏剣を木を的にして飛ばしていました。
トンットントンッ…
聞きなれた音と激しい呼吸音。
おそらく修行でもしているのでしょうけど、その投げ方はどこかがむしゃらな感じがしたんですね。
「はあっはあっ…っカカシ先生のバカ…!!」
彼女に近づく足が一瞬戸惑ったのを覚えています。彼女が急に声を上げたからというのもありますが、
それよりむしろ“カカシ”という単語が自分の中で引っかかったのだということに、この時私は気付いていませんでした。
「そこで何をしているんです?」
「きゃ…っ」
何の感情も篭らない声でそう言ったら、彼女はビクリと肩を震わせました。
どうやら私の気配に気付かなかったらしいです。
忍びとしてどうかとかそういうことはこの際置いといて、振り返った彼女の顔には見覚えがありました。
「あ…月光ハヤテさん…」
「君はええーと…ごほっ…中忍試験の時の…春野サクラさん…ですか」
鮮やかな髪色が印象に残っていたので、私にしては珍しく名前を覚えていました。
この暗がりでははっきりと判りませんでしたが、翡翠色の目を見て思い出したようですね。
「えっと…修行を…」
「一人で、こんな所でですか…?」
晒された肌についた無数の小さな傷跡が、やたらと目に付きます。
「…それは…その…もしかしてハヤテさん、………さっきの聞きました?」
「『カカシ先生のバカ』…ですか?確かはたけ上忍はあなたの班の担当だと聞いていますが?」
「…そうです…。あああ、あのっ先生にはその……」
「言いませんよ。ですがその代わり、こんな所で修行していた理由を聞かせて頂きますが…ごほっ…」
どう考えてもいくら修行だからといって、こんな場所で少女の姿は似つかわしくありません。
しかし…本当に今日は何かあったのでしょうか…?やけに色々なことが気になります。
「うぅ…わ、笑わないでくれます?」
「はい」
ころころと表情の変わる彼女は見ていて飽きませんでした。
「……カカシ先生に…喧嘩売って来たんです……」
「……は?……」
「私が一方的に啖呵切ったっていうか…、……いつもナルトやサスケ君ばっかりで…
先生があまりに私の修行を見てくれないから……」
最後の方には声は弱々しくなって、よく見ると彼女の目は少し赤く腫れています。
「…先生に言ったんです…。そんなに私…忍びとしての素質無いのか…って…」
「カカシ上忍に…何か言われたんですか?」
完全に俯いてしまった彼女はただ首を横に振りました。
「何も…言われてない、ですけど、でも…困った顔してまし…た…」
暗闇と俯いているせいで、彼女の顔はあまりよくは見えませんが、泣いているのは確実に判りました。
きっと私に会う前にも一度泣いていたのでしょう。
女性を泣かせてしまったことに小さくショックを受けながら、けれど私はどうすればいいのか全く判りません…。
「それで…誰にも気付かれないように一人で修行を…?」
…おそらく涙を隠すためにも。
「だって…誰も修行を見てくれる人なんていないし…それに素質…無い私の修行なんて…恥ずかしいじゃないですか…」
「私が見ましょう」
「え…?」
「あなたさえよければ私があなたの修行を見ますよ。先程の手裏剣の筋も中々良かったですし、…ごほっ、
それに何より私には、あなたに忍びとしての素質が無いとは到底思えません」
なんて面倒な話でしょうか。
気が付いたら私はこんなにらしくないこと言っていました。
彼女を何とかして泣き止ませたかったのかもしれません。
けれど何故かそう言ってしまった後に後悔することはなくて…
むしろ不思議と喜びさえ感じていたんです。
「そんな…ハヤテさんだって忙しいのに悪いです…」
「私ではあなたの修行には力不足ですか?」
「まさか!!」
「それでは決まりですね」
感じた喜びは彼女の修行を私が見れるという事への喜びだったんです。
全ての始まりはそう…そんな偶然からでした。
ハヤサク小説…です(汗)。ハヤテのキャラが全然判らない…(泣)。
予め言っておきますが、ハヤテの設定はどこまでも捏造なので(苦笑)。
テスト期間中に沸いた妄想を形にすべく!!(笑)
大まかなストーリーは頭の中で出来ているんですけど、文章には全くなっていないうえに
管理人は文字書くの苦手なので大分完成まで時間掛かると思うんですが、
最後までお付き合い下されば嬉しいです。