季節がめぐり、生けるものが皆日々少しずつ老いてゆく。

ゆっくりと、ゆっくりと、そしてあまりにも早く。


アメリカ、ニューヨークのビルが立ち並ぶ陰にひっそりと身を隠すようにして佇むアパートのとある一室で

三十年もの間ベッドに横たわっている男がいた。





Blue Rose-1-





この四季豊かな日本で常夏の島と言われる沖縄、それが夏場となればその暑さは殺人的なものへと変化する。

『OMORO』と看板の掲げられた店の中では、今日もその暑さに負けないくらいの明るい元気な声が響き渡っていた。

 「ただいまーカイー」

 「ただいまー」

声を揃えて仲良くただいまの挨拶をするのは、自身の母親によく似た双子の少女。

 「おう、おかえり。二人ともちゃんと弁当全部食ったか?」

 「うん、美味しかったよ」

言いながら、二人同時に空の弁当箱を取り出し洗い始める。その弁当箱の大きさは彼女たちの叔母に似たのだろうか、

一般的な女子高生の弁当箱の大きさよりも遥かに大きい。

“美味しかった”の言葉に満足そうにしている男は彼女たちの父親代わりではあるが、

無邪気に彼を呼び捨てにし続ける彼女たちに、自分のことを父親呼ばわりさせるのは随分と前に諦めている。

 「ねぇ…カイ?」

壁に掛かっている割と大きめなカレンダーを見つめながら、双子の一人が問う。

 「毎年この月の同じ日に付いてるこの赤い丸印って何?」

 「あーそれ私も気になってた!!誰かの誕生日なの?」

片割れに共鳴するように双子がカレンダーから視線を変えた先には、その印をどこか懐かしむように、柔らかく微笑みながら眺めるカイの姿。

 「これか?これはな…お前らの叔母さんと俺たちの…約束の日だ…」

 「やくそく?」

 「ああ、大切な約束の日…」

年老いて幾分しわの出てきた彼の首には、彼の大切な家族の一人である少年の赤い石が昔と変わらず今もぶら下がっている。

 「おっと、それよりお前ら、そろそろ輸血の時間だな。ジュリア先生が待ってるぞ」

弾かれたように時計に目をやり、双子は慌てて店の入り口に向かう。

 「ほんとだ、行ってきます!!」

 「行ってきまぁす!」

 「おー、気を付けるんだぞー」

扉が閉まり先程とは打って変わって静かになった店内で、カイはカレンダーの印に手を触れた。




 「そうか…小夜が眠りに入ってから、もうすぐ三十回目のこの日が来るんだな…」










はい、始まりましたよソロ小夜連載!!早速短いです。で、でも1話目なんてそんなもんですよね!?(汗)
っていうか肝心な二人は出てきてません(死)。しかもカイがお歳を召していらっしゃる(滝汗)。
口調とかこんなのでいいんだろうか…。双子も最終回でのテンション引っ張ってるからなぁ。
18歳くらいで成長止まっているはずだから、もう少し大人かもしれない。
名前とかどうなってるんだろう…。